中学受験も、いよいよ残り4か月を切った。第一志望は変わらない。しかし、2月2日以降にどの学校を受けるか。これがなかなか難しい。
そんな中、先日、巣鴨中学校の学校説明会に行ってきた。妻が先に説明会へ参加し、息子とも文化祭を訪れていた学校である。もともとは併願校候補の一つだったが、最近、我が家の中で存在感がじわじわと大きくなっている。
正直に言って、私は巣鴨がかなり好きである。
質実剛健の伝統校。大菩薩峠越え。厳しそうな男子校。そんな昔ながらのイメージがある一方で、説明会では国際教育に対する熱意も感じた。そして、何より校長先生の話が面白かった。
今回は、実際に訪れた父親の目線から、巣鴨中学校の魅力と大学合格実績、そして2027年入試に向けて考えていることを書き残しておきたい。
大塚駅から歩ける、きれいな伝統校
巣鴨中学校・高等学校は、東京都豊島区上池袋にある男子の中高一貫校である。1910年創立の巣園学舎をルーツに持ち、100年以上の伝統を誇る。
最寄り駅はJR山手線の大塚駅。駅から歩いて10分ほどというのも、通学を考える親としてはありがたい。巣鴨という名前から巣鴨駅を想像する人もいるかもしれないが、学校へのアクセスでは大塚駅が便利だ。
以前、息子と文化祭「巣園祭」に行ったときにも感じたが、校舎がきれいである。新しい建物に木の温かみがあり、私の好みに合っている。昔ながらの伝統校と聞くと設備も古そうな印象を持つかもしれないが、実際に入ってみるとずいぶん違う。
文化祭では滞在時間がわずか45分。それでも、息子は「巣鴨も良かった」と話していた。
詳しい文化祭訪問記はこちらの記事にまとめている。
校長先生が語った「エベレスト」の話
今回の説明会で最も印象に残ったのが、校長先生の話である。
会場には小学生の姿がとても多かった。そんな子どもたちに向かって、校長先生がかなり熱い話をしていた。
中学受験はエベレスト登山のようなものだ。
今の時期は、まだそのふもとに立っている。上を見上げると、頂上はあまりに高く、とても登れる気がしない。それなら横にある、もう少し低い山なら登れるのではないか。そう考えたくもなる。
しかし、最初から「低い山なら何とかなる」と考える気持ちでは、その山ですら登り切れないかもしれない。だから今こそ高みを目指し、エベレストの頂上を目指すつもりで頑張ってほしい。私が受け取ったのは、そういうメッセージであった。
もちろん、志望校選びでは現実的な判断も必要である。それでも、10月の受験生たちに向かって、もう少しだけ高みを目指して頑張ろうと語りかける姿には、思わず聞き入ってしまった。
説明会で多くの学校を見ていると、校長先生の話もさまざまである。だが、巣鴨の校長先生の話は妙に記憶に残る。学校紹介というより、目の前の小学生への応援演説だった。
※上記は説明会で聞いた話を記憶に基づいて要約したものであり、発言の逐語録ではない。
本番に持っていく「自分だけのノート」
もう一つ印象に残ったのが、勉強方法についてのアドバイスである。
校長先生はまず、塾の先生は受験指導のプロフェッショナルなのだから、その先生方の指導を大切にしてほしい、と話していた。
そのうえで、一つだけ助言をするなら、と紹介されたのが自分ができなかった問題や、どうしても覚えておきたいことを一冊のノートにまとめるという方法だった。
間違えた問題。苦手な知識。最後にもう一度確認したいポイント。そうしたものを少しずつ書きためて、入試本番にはそのノートを持っていく。
私には、いわば「自分で作ったお守り」のように聞こえた。
中学受験の勉強では、毎週のように新しい教材が増える。残り時間が少なくなった今、すべてを完璧にやり直すのは難しい。だからこそ、自分の弱点を一冊にまとめる発想は合理的だと思う。
我が家でも、算数や理科で解けなかった問題が次々と見つかっている。これから新しい問題集を何冊も増やすより、「自分が何を間違えやすいのか」を把握することのほうが大切かもしれない。
大菩薩峠越えに象徴される「硬教育」
巣鴨の伝統行事と聞いて、まず思い浮かぶのが大菩薩峠越え強歩大会である。
山梨県の大菩薩峠を越える伝統行事。険しい道のりに挑む姿は、巣鴨が大切にする「硬教育(努力主義)」を象徴しているように感じる。
少々体育会系で、質実剛健。最近の学校紹介ではあまり前面に出てこない価値観かもしれない。けれど、私はこういう教育が嫌いではない。勉強だけでは身につかない粘り強さも、6年間の中で学んでほしいからだ。
2026年は東京湾岸での強歩大会に
ただし、最近の行事には変化もある。説明会では、熊の出没など安全面への懸念から、従来の山岳コースではなく湾岸エリアを歩く形になっている、という話も聞いた。
実際、2026年には「東京湾岸強歩大会」が行われ、巣鴨学園公式サイトでも、読売新聞による同大会の紹介が案内されている。夢の島からお台場方面を歩く内容だったという。
なお、コース変更の理由を熊の出没とする説明については、公開資料で確認できた範囲と説明会で聞いた話を区別しておきたい。今後の実施場所も年度ごとに変わる可能性がある。
伝統行事だからといって、何が何でも従来どおりに実施するのではない。安全を考慮しながら、行事の趣旨をどう残すか。そこにも学校の考え方が出るのだろう。
国立競技場で体育祭!息子が惹かれた豊富な行事
実は、息子が巣鴨を気に入った理由の一つは、学校行事がたくさんあることらしい。
私が大学合格実績や国際教育を気にしている一方で、息子はもっとシンプルだ。「いろいろな行事があって楽しそう」。6年間を過ごす本人にとっては、むしろこちらのほうが大切なのかもしれない。
特に驚いたのが、国立競技場で開催される体育祭である。
2026年9月24日には、実際にMUFGスタジアム(国立競技場)で「SUGAMO SPORTS FESTIVAL 2026」が開催された。学校の公式報告によれば、100m走、大縄跳び、騎馬戦、リレーなどが行われ、来場者がトラックを走る企画もあったそうだ。
説明会では、収容人数が何万人もあるスタジアムに、生徒、保護者、受験希望の小学生などを含めておよそ5,000人が集まる、という話があった。また、本格的な競技会に近い運営や審判にもこだわっているという。人数や審判の詳細は説明会で聞いた話であり、公式資料で個別に確認した数値ではない。
それにしても、学校の体育祭を国立競技場で実施するというのは、なかなかスケールが大きい。
ほかにも巣園流水泳学校、寒稽古、文化祭「巣園祭」など、巣鴨ならではの行事がある。行事を通じて思い出をつくれる学校というのも、大きな魅力だろう。
親として魅力を感じた国際教育
息子にとっては行事の充実が魅力。一方、私が強く惹かれたのは国際教育である。
巣鴨は昔ながらの硬教育を前面に出しつつ、海外で学ぶ機会も積極的に設けている。たとえば英国の名門イートン校で学ぶサマースクール、国内で英語漬けの環境に身を置くSugamo Summer School、オーストラリアでの研修やターム留学などだ。
2026年には中学1年生向けのイングリッシュシャワープログラムも実施されている。またSugamo Summer Schoolでは、英語を使って議論や発表をする取り組みが行われたという。
単に英単語や文法を覚えるのではなく、異なる文化に触れ、英語を使って自分の意見を伝える。これからの時代、そういう経験を中高生のうちに積めるのは大きいと思う。
もっとも、海外研修には希望制のものもあり、参加条件や費用は別途確認が必要だ。全員がすべてのプログラムを経験できるわけではない。
昔ながらの質実剛健と、今の時代に必要な国際性。この両方を大切にしているところが、私には巣鴨らしい魅力として映った。
参考:巣鴨学園公式・国際教育
2026年の大学合格実績を現役・既卒別に確認
巣鴨は、かつて男子進学校の「新御三家」の一角とも呼ばれ、東京大学への合格者を数多く出していた学校として知られている。
そのため、近年の東大合格者数を見て「昔ほどの勢いはない」と言う人もいるようだ。しかし、学校の実績を一つの数字だけで評価するのは難しい。説明会でも、医学部を目指す生徒が多いという話があった。
では、実際の数字はどうなのだろうか。手元の『中学受験案内』には2024年春のデータが載っていたので、今回は巣鴨学園が公表した2026年4月15日現在の実績を改めて確認した。
| 大学・分野 | 合格総数 | 現役 | 既卒 |
|---|---|---|---|
| 東京大学 | 13名 | 11名 | 2名 |
| 一橋大学 | 5名 | 5名 | 0名 |
| 東京科学大学 | 7名 | 4名 | 3名 |
| 早稲田大学 | 83名 | 64名 | 19名 |
| 慶應義塾大学 | 53名 | 41名 | 12名 |
| 医学部医学科 | 88名 | 37名 | 51名 |
東大13名のうち現役は11名
東京大学は2025年の1名から、2026年は13名へと大きく増えた。しかも、そのうち11名は現役合格である。1年の結果だけで「復活した」と言い切るのは早いものの、「東大合格者がほとんどいない学校」と捉えるのは、少なくとも2026年の実績とは異なる。
2026年の高校卒業生は270名。年度によって卒業生数も変わるので、大学合格数の増減だけで教育力を判断するのも注意が必要だろう。
医学部医学科88名。ただし現役は37名
もっと慎重に読みたいのが医学部医学科の実績である。
2026年の合格総数は88名。内訳は国公立18名、私立69名、海外1名であり、現役合格は37名、既卒者による合格は51名だ。つまり、延べ合格件数の約58%は既卒者によるものである。
そして私立医学部では一人が複数校に合格することもある。したがって「巣鴨から88人が医学部に進学した」という意味ではない。
もちろん、既卒生の合格も立派な実績である。ただし、進学実績を比較するなら、現役・既卒の区別と、延べ合格件数か実人数かを意識したい。
数字を眺めると、巣鴨には東大だけでなく医療の道を志す生徒も多いのだろうと思う。進路選択の幅という点では魅力的である。
2027年入試、我が家は2月2日を意識している
我が家の第一志望校は、今のところ変わらない。2月1日は、その学校への挑戦である。
一方、2月2日をどうするか。これまでいろいろな学校を比較してきたが、息子自身は巣鴨に好感を持っている。
2026年度の巣鴨中学校入試では、第Ⅰ期が2月1日午前、算数選抜が同日午後、第Ⅱ期が2月2日、第Ⅲ期が2月4日に実施された。2027年度については、正式な募集要項による最終確認が必要である。
我が家の併願候補としては、2月2日の入試が有力な選択肢になりそうだ。もっとも、入試は日程だけでなく、本人の学力や受験当日の体力にも左右される。最後まで悩みは尽きない。
まとめ|伝統を守りながら、変わろうとしている巣鴨
文化祭、そして今回の学校説明会を通じて、巣鴨への印象はますます良くなった。
大菩薩峠越えに象徴される硬教育。国立競技場での体育祭。盛りだくさんの学校行事。そして、国際教育への積極的な取り組み。
息子は行事の多さに魅力を感じている。私は、伝統を大切にしながら国際教育にも力を入れている点に惹かれる。
何より、校長先生が小学生に語った「エベレスト」の話と「自分だけのノート」の話が、いまだに頭から離れない。
昔ながらの教育方針を守りながら、時代に合わせて新しいことも取り入れようとする。その姿勢に、私は好感を持った。
巣鴨は、我が家にとって「受験できる学校」から「通わせたいと思える学校」へ、少しずつ変わってきた。
あとは息子が、今できることを積み重ねるだけである。エベレストの山頂がまだ遠く見えても、まずは今日の一歩から。

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