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『二月の勝者』1巻を読んだ|中学受験中の父には笑えないほどリアルだった

いま、息子は部屋にこもってNN特訓を受けている。

今日はオンラインらしい。

ちゃんと集中しているのだろうか。

画面の向こうでは先生が熱心に授業をしているはずだが、こちらからは部屋の中が見えない。ちょっと気になる。

まあ、覗いたところで集中力が上がるわけでもない。

息子はNN特訓に集中してもらい、私はブログに集中することにする。

今日書くのは『二月の勝者』1巻。

中学受験漫画といえば、やはりこの作品である。

そして『二月の勝者』といえば、有名なのが「父親の経済力」と「母親の狂気」という強烈な言葉。

初めて聞いたときは、ずいぶんな言い方だなと思った。

でも、自分が中学受験の真ん中に入ってみると、これがなかなか笑えない。

塾代、SS特訓、NN特訓、個別指導、模試、過去問。

お金は飛んでいく。

そして毎日の勉強、テストの点数、志望校、過去問の出来について、家では延々と会話が続く。

我が家の場合、「父親の経済力、母親の狂気」と綺麗に役割分担されているわけでもない。

父親も算数を見て、過去問の点数を気にして、学校を調べ、挙げ句の果てには『二月の勝者』を読んでブログまで書いている。

父親も十分、中に入っている。

そんな状態で改めて1巻を読むと、以前とはまったく違って見えた。

物語が始まるのは2月1日。

いまの我が家にとって、もはやただの日付ではない。

息子が実際にその日に試験会場へ向かう。

その日まで、あと138日。

漫画の世界だったはずの『二月の勝者』が、いつの間にか妙に現実味を帯びてきた。

目次

いきなり2月1日

『二月の勝者』1巻は、いきなり中学受験本番から始まる。

2月1日である。

中学受験を知らなかったころの自分にとって、2月1日なんてただの冬の一日だった。

ところが今は違う。

カレンダーの「2/1」がものすごく重い。

その日の朝、息子を起こして、ご飯を食べさせて、電車に乗って、試験会場まで行く。

そんなことを実際にやる日が来る。

あと138日で。

作中では、2月1日に多くの受験生が小学校を休む様子も描かれている。

そうか。

当然といえば当然なのだが、その日は小学校ではなく試験会場にいるのだ。

漫画の冒頭を読んでいるだけなのに、138日後を見せられているような気分になる。

シャーペンより鉛筆

そして、いきなり気になったのが鉛筆である。

作中では、シャーペンより鉛筆という話が出てくる。

これを読んで、「そうそう」と思ってしまった。

というのも、いま息子は高級シャーペンや文房具にハマっている。

新しいシャーペンが欲しい。

このシャーペンは書きやすい。

こっちは機構がどうだ。

まあ、文房具に興味を持つこと自体は悪いことではない。

問題は勉強中である。

芯を出したり戻したり。

カチャカチャ、カチャカチャ。

気がつくとシャーペンをいじっている。

親からすると、もう何でもいいから問題を解いてくれ、と思う。

そういえば、つい2日前にも「勉強中にシャーペンをカチャカチャするの、やめたほうがいいんじゃない?」と注意したばかりだった。

そこに『二月の勝者』を読んだら、「シャーペンより鉛筆」である。

ほら見ろ。

黒木先生も言っているではないか。

……と息子に言いたくなる。

もちろん、本番で何を使えるかは学校ごとの募集要項を確認すればいい。

ただ我が家の場合、それ以前の問題である。

シャーペンが悪いのではない。

シャーペンで遊ぶのが問題なのである。

受験まであと138日。

高級シャーペンを愛でるのは構わない。

でも、勉強するときくらいは鉛筆にしてみないか。

父としては、『二月の勝者』を根拠に、もう一度交渉してみようと思っている。

第3回で合格する

冒頭では木下さんが第3回の入試で合格する。

これも今読むとちょっと見方が変わる。

中学受験というと、どうしても「2月1日の第一志望」に目が行く。

しかし実際には、そんなに単純ではない。

同じ学校を複数回受けることもあるし、午前と午後で受験することもある。何校をどの順番で受けるかも重要になる。

我が家もまさに今、2月1日だけではなく、その後を含めて受験日程を考えているところである。

中学受験は学力だけではない。

最後は日程の組み方まで含めた総力戦になるのだろう。

フェニックスはSAPIX?

そして登場するのが、大手塾のフェニックス。

まあ、読んでいるとSAPIXを連想する。

今まさに息子がSAPIXに通っているので、ここも妙に身近である。

一方、新人の佐倉先生が講師として入るのは「桜花ゼミナール」という、フェニックスより小規模な塾だ。

この桜花ゼミナールについては、「どこの塾がモデルなんだろう」と気になった。

ただ、特定の一つの塾をそのまま描いているというより、いろいろな中学受験塾の要素が入っていると考えたほうがよさそうである。

漫画なので当たり前なのだが、実際に塾通いをしている家庭になると、こういうところまで気になってしまう。

最下位Rクラスへ

新人講師の佐倉先生が配属されたのは、最下位のRクラスだった。

当然、佐倉先生は子どもたちに勉強を教えるつもりで塾講師になる。

しかし、そこで知ることになる。

彼らは「生徒」であると同時に、「お客様」でもあるという事実を。

これもなかなか重い。

塾は教育の場である。

先生がいて、生徒がいて、子どもの学力を伸ばす。

しかし同時に、親がお金を払ってサービスを購入するビジネスでもある。

気に入らなければ転塾することだってできる。

実際に中学受験を始めてみると、この両面がよくわかる。

教育なのか。

ビジネスなのか。

たぶん、どちらも本当なのである。

お金は確かにかかる

そして我が家の場合、この「お客様」という言葉を他人事として読むことができない。

SAPIXに通っている。

SS特訓も始まった。

NN特訓も受けている。

さらに算数は個別塾にも通っている。

全部タダではない。

当たり前である。

「父親の経済力、母親の狂気」という言葉が強烈なのは、中学受験のかなり嫌なところを一言で突いているからなのかもしれない。

もちろん、中学受験をしている母親がみんな狂気に満ちているわけではない。

父親だけがお金を稼ぐ時代でもない。

それでも、中学受験にはお金と親の熱量が必要になるという意味では、かなり本質を突いている気がする。

実際、我が家も十分に熱量が高い。

たぶん外から見たら、結構やっている家庭だと思う。

当事者になると、それが普通になってしまうのが怖いところである。

努力のリターン

1巻でもう一つ引っかかったのが、勉強は努力のリターンを得やすい、という考え方だった。

これは確かにそうかもしれない。

世の中には、才能がものをいう分野がある。

スポーツ。

音楽。

芸術。

もちろん努力は必要である。

しかし、本気で上を目指せば目指すほど、とんでもない才能を持った人たちと戦うことになる。

身体能力だったり、感覚だったり、生まれ持った適性だったり。

努力だけではどうにもならない部分が出てくる。

あれは本当に厳しい。

勉強にも才能はある

もちろん、勉強なら才能が関係ない、なんてことはない。

中学受験を見ているだけでもよくわかる。

同じ授業を受けて、一回で理解する子もいる。

何回も繰り返して、ようやく理解する子もいる。

同じ小学生なのに、ものすごい問題を平然と解く子もいる。

才能の差は確実にある。

それでも、他の世界と比べれば、努力で動かせる範囲は大きいのではないかと思う。

漢字を覚えれば、昨日書けなかった漢字が書ける。

計算を繰り返せば速くなる。

算数でできなかった問題を解き直せば、次は解けるかもしれない。

過去問をやって苦手分野を見つけ、それを潰していけば点数につながる。

やったことが比較的、結果として返ってきやすい。

凡人にこそ中学受験

そう考えると、

「凡人にこそ中学受験」

という強烈な言葉も、最初に読んだときよりわかる気がした。

天才になるための受験ではない。

普通の子どもが、自分なりに努力して、昨日できなかったことを一つずつできるようにしていく。

その積み重ねで、自分の行ける場所を少し広げる。

もちろん、努力すれば必ず第一志望に合格するなんて単純な世界ではない。

中学受験にも才能はある。

運だってあるだろう。

それでも「自分がやったことが、自分に返ってくる」という経験をするには、勉強というのは案外フェアな世界なのかもしれない。

そういう意味では、「凡人にこそ中学受験」という考え方はなかなか面白い。

少なくとも、才能がものをいう世界の厳しさを知っている大人には、妙に説得力がある。

参考図書まで気になる

そして『二月の勝者』1巻を読んでいて、もう一つ気になったのが参考図書である。

漫画を読んでいるだけでも十分面白いのだが、「この中学受験の世界をもう少し知りたい」と思わせる本が並んでいる。

特に気になったのが、

『中学受験 SAPIXの授業 有名塾では何を教えているのか』

そして、

『ルポ 塾歴社会 日本のエリート教育を牛耳る「鉄緑会」と「サピックス」の正体』

である。

タイトルからして気になる。

特に今は息子が実際にSAPIXに通っているので、これは読んでみたい。

ということで、早速2冊とも図書館で予約してみた。

漫画を1冊読んだだけなのに、また読む本が2冊増えてしまった。

ただでさえ仕事も中学受験も忙しいのに。

こうやって興味の枝がどんどん伸びていくから、読書はやめられないのである。

138日前に読む1巻

『二月の勝者』は、中学受験を始める前に読んでも面白い漫画だと思う。

でも、実際に子どもが小学6年生になり、SAPIXに通い、SSが始まり、NNも始まり、過去問まで解き始めてから読むと、まったく違って見える。

フェニックス。

クラス分け。

塾にとっての「お客様」。

努力と才能。

そして2月1日。

以前なら漫画の設定として読んでいたものが、今はだいたい自分たちの生活のどこかにつながっている。

そして今も、隣の部屋では息子がNN特訓を受けている。

ちゃんと集中しているかは、やっぱり気になる。

でも、今日は見に行かないことにする。

息子は息子で勉強する。

父親は父親でブログを書く。

2月1日まで、あと138日である。

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この記事を書いた人

40代、2児の父。現在は息子の中学受験に伴走中。しばらくは中学受験を中心に、日々の試行錯誤や実体験を発信していきます。

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