第一志望校の受験まで、あと139日。
忙しい。
とても忙しい。
仕事も普通に忙しい。
仕事を終えて帰ってきて、駅で塾帰りの息子を待つ。家に着くのはだいたい21時45分ごろ。
ようやく帰宅。
そこから妻が、どとうのように今日の中学受験情報をぶつけてくる。
「NN、本当に取ってよかったのかな」
「算数の個別塾、減らして大丈夫だったかな」
「今日、個別塾の面談でこんなこと言われたんだけど」
……忙しい。
息子が勉強している横で、親もずっと考えている。
SAPIX、SS、NN、個別塾。
第一志望をどうするか。併願校をどうするか。2月1日の午後はどうするか。2日はどうするか。
学校説明会に文化祭、模試に過去問。
調べることが多すぎるのである。
そんなわが家で、最近よく開かれている分厚い本がある。
声の教育社『首都圏版 中学受験案内 2027年度用』。
878ページ。
もはや読む本ではない。
中学受験の辞書である。
今日は、忙しい中学受験家庭で、この分厚い一冊を実際にどう使っているのかを書いてみたい。
878ページの受験辞典
最初に言っておくと、この本を最初から最後まで読んだわけではない。
というか、878ページもある。
読めるわけがない。
わが家での使い方は完全に辞書である。
気になる学校が出てきたら開く。
妻と、
「ここどうなんだろう」
という話になったら開く。
併願校を考えるときにも開く。
最近行った文化祭の学校を、帰ってからもう一度見直すこともある。
ネットで検索すれば、それぞれの学校の情報はいくらでも出てくる。
ただ、中学受験が本格化してくると、その「いくらでも出てくる」が逆に面倒になってくる。
学校公式サイト、塾の記事、口コミ、偏差値表、Googleマップ。
一校調べるだけでも、どんどんタブが増えていく。
その点、この本ならとりあえず開けばいい。
この手軽さが思った以上に便利なのである。
一冊で学校を比べられる
この本のいいところは、いろいろな学校を同じフォーマットで見られることだと思う。
学校の特徴、入試情報、進学実績、部活動など、気になる情報がまとまっている。
学校の所在地をまとめた地図もある。
制服もカラーで載っている。
制服なんて受験校選びには関係ないだろうと思うかもしれないが、パラパラ眺めるにはこういう情報も意外と楽しい。
そして、気になった学校を見つけたら、その学校のページを読む。
そこから公式サイトを見たり、説明会や文化祭を調べたりする。
つまり、この本だけですべてを決めるわけではない。
学校探しの入口として使いやすいのである。
3つの偏差値を見られる
個人的に便利だと思っているのが、偏差値である。
この本には、四谷大塚、首都圏模試、SAPIXの偏差値が掲載されている。
わが家はSAPIXに通っているので、普段どうしてもSAPIX偏差値を基準に考えることが多い。
ただ、偏差値というのは模試によって数字がかなり違う。
同じ学校なのに、
「SAPIXで見るとこのくらい」
「四谷大塚ではこのくらい」
「首都圏模試だとこのくらい」
となる。
もちろん、数字を単純比較するものではない。
母集団が違うからである。
それでも、一つの数字だけで学校を見るより、複数の物差しでその学校の位置を見ることができるのは面白い。
特に第一志望だけではなく、併願校まで考え始めた今はよく見るようになった。
偏差値だけでは決まらない
ただし、最近ますます思うのは、
偏差値だけ見ても学校は分からない。
ということである。
わが家もこれまで、いくつかの学校説明会や文化祭に行ってきた。
実際に学校へ行くと、
「ここは息子に合いそうだな」
と思う学校もあれば、
「いい学校なんだけど、ちょっと違うかな」
と思う学校もある。
これは偏差値表からは分からない。
最近なんとなく分かってきたのは、息子は比較的、生徒の自主性を重んじる学校のほうが合っていそうだということ。
校舎を歩いて、生徒を見て、先生の話を聞いて、ようやく分かることも多い。
だから、この本で学校を探して、気になったら実際に行ってみる。
この順番がいいのだと思う。
併願を考えると出番が増える
第一志望だけを考えているうちは、それほど必要ないかもしれない。
学校の公式サイトをじっくり読めばいい。
ところが、6年生の秋になって併願校を本格的に考え始めると、一気に話が複雑になる。
2月1日の午前。
2月1日の午後。
2月2日。
さらに埼玉受験。
「この学校を受けたら、次はどこへ移動できる?」
「午後入試に間に合う?」
「この学校とこの学校なら、どちらが息子に合いそう?」
そんな話が毎日のように出てくる。
この本には併願校の情報も掲載されているので、そういうときにも便利である。
それでも決まらなければ、またネットで調べる。
そして翌日、また妻から新しい学校名が出てくる。
……終わらない。
他の受験案内もある
中学受験の学校案内は、この本だけではない。
代表的なところでは、晶文社の『首都圏 中学受験案内』や、四谷大塚の『中学入試案内』がある。
どれも電話帳のように分厚い。
ざっくり違いを整理すると、こんな感じである。
| 比較 | 声の教育社 | 晶文社 | 四谷大塚 |
|---|---|---|---|
| 代表書籍 | 首都圏版 中学受験案内 | 首都圏 中学受験案内 | 中学入試案内 |
| 特徴 | 学校情報を幅広く比較 | 学校選びの情報が充実 | 入試データに強い |
| 偏差値 | 四谷大塚・ONETES・SAPIX | 四谷大塚・ONETES | 四谷大塚 |
| 学校情報 | ◎ | ◎ | ○ |
| 併願検討 | ◎ | ◎ | ◎ |
| 入試対策 | ○ | ○ | ◎ |
| こんな家庭に | まず1冊欲しい | 学校をじっくり探したい | 入試戦略も考えたい |
※各年度版によって掲載内容は変更される可能性がある。
こうして並べてみると、それぞれ少し方向性が違う。
- 学校を幅広く比較するなら声の教育社。
- 学校そのものをじっくり調べるなら晶文社。
- 入試データや問題傾向まで見るなら四谷大塚。
という感じだろうか。
わが家の場合、今一番欲しいのは「知らない学校も含めて、候補を横並びで調べられるもの」である。
さらにSAPIXに通っているので、普段見慣れているSAPIX偏差値だけでなく、四谷大塚やONETESの数字も一緒に眺められるのは便利だった。
だから、今のところ声の教育社版がわが家の中学受験辞書になっている。
もちろん、どれが絶対に一番という話ではない。
目的によって選べばいいと思う。
口コミでも評価は高い
Amazonの口コミも少し見てみた。
前年版も購入して2年連続で使っている人や、他社の学校案内も見比べたうえで、情報の鮮度・質・量を評価している人がいる。
また、学校ごとの説明がまとまっていることや、全体地図、部活動一覧が便利という声もあった。
制服がカラーでたくさん掲載されている点を評価している人もいる。
このあたりは、実際に使っていても分かる。
単に偏差値を検索するだけならネットで十分である。
しかし、「どんな学校があるんだろう」とパラパラめくること自体に価値がある。
これは紙の本ならではだと思う。
AI時代に紙の878ページ
考えてみれば面白い。
2026年である。
分からないことがあればGoogleで検索できる。
AIに聞けば、学校の比較だって一瞬で出てくる。
それなのに、わが家では878ページもある紙の本をリビングでパラパラめくっている。
でも、これが意外といい。
検索というのは、基本的に「知っているもの」を調べる行為である。
「巣鴨中学について知りたい」と思えば検索できる。
でも、本をパラパラめくっていると、
「こんな学校もあるのか」
という出会いがある。
これはネット検索とは少し違う。
全部を効率化しなくてもいいのだと思う。
あと139日
第一志望校の受験まで、あと139日。
息子も忙しい。
親も忙しい。
仕事から帰ってきて、駅で息子を拾って、21時45分ごろ帰宅。
そこから妻と中学受験会議が始まる。
NNは本当に取ってよかったのか。
算数の個別塾を減らしてよかったのか。
志望校はこれでいいのか。
併願校はどうするのか。
たぶん、正解なんて最後まで分からない。
そのときそのときで考えて、選んでいくしかないのだろう。
そんな話をしながら、またあの分厚い本を開く。
声の教育社『首都圏版 中学受験案内 2027年度用』。
878ページ。
全部読む日は、おそらく永遠に来ない。
でも、受験が終わるまでは、まだ何度も開くことになりそうである。

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