昨日に続いて『二月の勝者』。
今日は2巻である。
1巻はいきなり2月1日の入試本番から始まったが、2巻は新6年生の3月。
今の我が家からすると、もう半年ほど前の話である。
あの頃はまだSS特訓も始まっていなかった。
NN特訓も受けていなかった。
過去問も本格的には解いていなかった。
それが半年ほど経った今では、SAPIXに行き、SS特訓を受け、NN特訓も始まり、家では過去問を解いている。
小6の半年間、濃すぎる。
そして2巻を読んでいて思った。
1巻は「中学受験ってこんな世界なのか」という話が多かったが、2巻はむしろ親に刺さる話が多い。
偏差値50。
志望校の決め方。
季節講習。
お金。
算数。
模試。
そして夫婦の意見。
どれも今の我が家に関係している。
漫画を読んでいるはずなのに、だんだん家庭の反省会をしているような気分になってくる。
第一志望の2月1日まで、あと137日。
今日も気になったところを、つらつら書いてみる。
偏差値50は高い
まず引っかかったのが、
中学受験における偏差値50は、実はかなり高い。
という話。
これは中学受験を始めるまで、自分もよくわかっていなかった。
偏差値50と聞くと、
「まあ、普通くらいか」
と思ってしまう。
でも、中学受験の偏差値は母集団が違う。
そもそも中学受験をしようと思って塾に通い、かなりの勉強をしている小学生たちの中での偏差値である。
その中で50なのだ。
全小学生を並べて真ん中、という意味ではない。
実際に息子がSAPIXに通うようになってから、この感覚はかなり変わった。
学校を探していて偏差値50を見ると、以前なら「普通くらい」と思っていただろう。
今なら、
いやいや、全然簡単じゃないぞ。
と思う。
数字は同じ50でも、誰の中での50なのか。
これは中学受験を始めて初めて知ったことの一つである。
「行きたい」で選ぶ
もう一つ印象に残ったのが、志望校の考え方。
「入れそうな学校」ではなく「行きたい学校」を狙う。
これはいいなと思った。
受験が近づいてくると、親はどうしても偏差値表を見る。
80%。
50%。
20%。
この学校なら届きそう。
ここはちょっと厳しい。
そんな数字ばかり見ていると、いつの間にか、
「どこに行きたいか」
ではなく、
「どこなら入れるか」
で学校を探し始めてしまう。
もちろん、現実を見ることは必要である。
全部チャレンジ校にするわけにはいかない。
我が家も、受験日程全体ではしっかり合格を取れる学校を組み込みたいと思っている。
でも、第一志望くらいは別でいい。
「受かりそうだから」ではなく「ここに行きたいから」。
実際、息子と学校説明会や文化祭を回っていると、偏差値だけではわからないものがある。
親から見ると良さそうでも、本人には響かない学校もある。
逆に、本人が「ここ、いいな」と言う学校もある。
6年間通うのは親ではない。
本人である。
だから第一志望くらいは、少し背伸びしてでも「行きたい」で決めていいのだと思う。
ほどほどでは届かない
そして、今回かなり引っかかったのが、
何事もほどほどでは、大きな成果は出ない。
という考え方である。
なかなか厳しい。
でも、これは中学受験に限った話ではないと思う。
仕事でもそう。
スポーツでもそう。
英語でもそう。
自分自身を振り返っても、何かしら結果が出たときは、だいたい「ほどほど」ではなかった。
一時期、かなり集中してやっている。
もちろん、小学生に無限に勉強させればいいとは思わない。
我が家は22時30分には必ず寝かせるようにしている。
プールもまだ続けている。
息抜きだって必要だ。
でも、
「無理しなくていい」
「できる範囲でいい」
「ほどほどでいい」
だけで、大きな目標に届くのか。
それも違う気がする。
第一志望を本気で狙うのであれば、どこかでは本気でやらなければならない。
あと137日。
たぶん今が、その時期なのだろう。
中学受験は特急券
2巻に出てくる「中学受験は特急券」という考え方も面白かった。
世の中には、
「塾なんて行かなくても受かった」
「そんなに勉強しなかったけど難関校に受かった」
という子もいる。
実際、いるのだろう。
でも、それを普通の家庭が参考にしていいかは別の話だと思う。
地頭がものすごくいい子もいる。
たまたま学校との相性が抜群だった子もいる。
そういう特殊な成功例を聞いて、
「じゃあ、うちも同じでいい」
とはならない。
自由席に並んでいたら運よく座れた人の話を聞いて、
「指定席なんて買う必要ないじゃん」
と言うようなものなのかもしれない。
もちろん、お金をかければ合格できるわけではない。
そこは間違えてはいけない。
最後に問題を解くのは本人である。
ただ、お金をかければ授業を受けられる。
教材が手に入る。
模試を受けられる。
志望校別対策もできる。
苦手科目を個別で見てもらうこともできる。
つまり、
お金で合格は買えないが、選択肢は増やせる。
中学受験において、経済力がまったく関係ないというのは無理があると思う。
1巻に出てきた「父親の経済力」という言葉が、また頭をよぎる。
季節講習はほぼ必須
そして春期講習の話。
春休み、夏休み、冬休み。
どこの塾にも季節講習がある。
基本的には受講することになる。
SAPIXも通常授業とは別に、春期・夏期・冬期などの講習が組まれている。
まあ、よく考えれば塾にとっては稼ぎ時でもある。
学校は休み。
子どもには時間がある。
親としては勉強させたい。
そして受験生本人も勉強しなければならない。
講習をやらない理由がない。
教育である。
でも、同時にビジネスでもある。
1巻に出てきた「お客様」という話が、ここでもつながってくる。
小6の塾代を調べた
季節講習の話を読んでいて、ふと思った。
小6の1年間、SAPIXだけでいくら払うのだろう。
普段は毎月引き落とされているので、あまり合計しないようにしている。
怖いからである。
でも、せっかくなので調べてみた。
2026年度の小6でかかる費用を、通常授業だけでなく季節講習やSS特訓、模試まで含めてモデルケースとして並べると、おおよそこんな感じになる。
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| 通常授業料 | 726,000円 |
| 春期講習 | 39,050円 |
| GS特訓 | 42,900円 |
| 夏期講習 | 210,100円 |
| 夏期集中志望校錬成特訓 | 66,000円 |
| 難関校SS特訓 | 274,450円 |
| 冬期講習 | 61,000円 |
| 正月特訓 | 61,000円 |
| 志望校判定SOなど | 約30,000円 |
| 合計 | 約151万円 |
※2026年度の料金情報をもとにしたモデルケース。受験する模試や講座などによって実際の総額は変わる。
約151万円。
SAPIXだけである。
月謝だけを見ていると、
「月6万円台か」
と思うのだが、6年生はそれだけではない。
春期講習。
GS特訓。
夏期講習。
夏期集中志望校錬成特訓。
SS特訓。
冬期講習。
正月特訓。
こうして全部並べると、なかなか壮観である。
特に夏から後半戦がすごい。
『二月の勝者』を読んで、
「長期休暇は塾にとって稼ぎ時だよな」
なんて軽く考えていたが、数字にしてみるとなかなか笑えない。
そして我が家は、もちろんこれで終わらない。
我が家はさらに払う
我が家はSAPIXに加えて、算数の個別塾も利用している。
これが月22,000円。
さらに現在はNN特訓も受けている。
こちらが月39,200円。
合わせると、
22,000円+39,200円=61,200円/月。
SAPIXとは別に、月6万1,200円である。
通常月のSAPIX月謝を合わせるだけでも、
66,000円+22,000円+39,200円=127,200円。
月12万7,200円。
もちろん、NNを1年間受けるわけではないし、個別も現在は回数を減らしている。
単純に12倍するような話ではない。
でも、今この瞬間に毎月出ていく金額として見ると、なかなかである。
1巻に出てきた、
「父親の経済力」
という言葉がまた頭をよぎる。
そして2巻では、中学受験を「特急券」に例える話が出てくる。
先ほど我が家は普通に指定席を買っている、と書いた。
訂正したい。
SAPIXに乗って、SS特訓を追加。
さらにNN特訓を連結。
算数の個別指導までつけている。
もはや特急どころではない。銀河鉄道999である。
行き先は2月1日。
車掌さん、この列車、本当に第一志望まで行くんですよね?
ちなみに乗車料金は、小6のSAPIXだけでモデルケース約151万円。
そこにNNと個別も乗ってくる。
メーテルに会える気配はまったくない。
鉄郎のように機械の体が手に入るわけでもない。
手に入るのは大量のテキストと、毎月の明細である。
しかも、これだけ課金したからといって、終着駅まで自動で運んでくれるわけではない。
最後に試験会場で問題を解くのは息子である。
親にできるのは、切符を買って、弁当を持たせて、列車に乗せるところまで。
あとは本人に走ってもらうしかない。
……いや、銀河鉄道なのだから、走るのは列車か。
もう何の話をしているのかわからなくなってきた。
とりあえず、
2月1日行き999号、絶賛運行中である。
塾講師はサービス業?
2巻では、塾講師は教育者ではなくサービス業、というかなり強烈な考え方も出てくる。
でも、ここは少し引っかかった。
いや、教育者でもあるだろう。
と思う。
実際、子どものことを本気で考えてくれている塾講師もたくさんいると思う。
成績だけではなく、性格まで見ながら志望校について考えてくれる先生だっている。
一方で、塾が民間企業なのも間違いない。
親がお金を払う。
その対価として授業、教材、テスト、進路指導といったサービスを受ける。
満足できなければ転塾することだってできる。
そういう意味では、確かにサービス業でもある。
教育者なのか。
サービス業なのか。
たぶん、どちらも本当なのである。
教育だからビジネスではないわけでもないし、ビジネスだから教育ではないわけでもない。
実際にこれだけのお金を払っている親としては、そこは冷静に見ておきたい。
算数を制する
そして、
「算数を制する者が中学受験を制する」
という話。
これもよく聞く。
実際、入試では算数と国語の配点を理科・社会より高く設定している学校もある。
公開模試でも、四谷大塚の合不合判定テストは算数・国語が各150点、理科・社会が各100点となっている。
もちろん学校によって入試科目や配点は違うので、すべての学校で「算数が一番重要」と単純には言えない。
それでも、算数は怖い。
積み上げの科目なので、直前に一気にどうにかするのが難しい。
我が家では、自分が算数担当である。
過去問を一緒に見ていても、
「これが取れていれば……」
という問題が出てくる。
逆に算数が崩れると、一気に苦しくなる。
だから我が家は算数だけ個別塾まで使っている。
月22,000円。
また課金の話に戻ってしまった。
999号に、さらに一両連結である。
合格判定模試とは
2巻ではテストの話も出てくる。
中学受験を始めると、とにかくテストが多い。
クラス分け。
学習内容の定着確認。
志望校別。
そして6年生になると重要になってくるのが、合格可能性を見るための公開模試である。
首都圏で代表的なのは、このあたりだろう。
| 模試 | 主な特徴 |
|---|---|
| 四谷大塚「合不合判定テスト」 | 幅広い受験生が参加する代表的な公開模試 |
| 日能研「合格判定テスト」 | 蓄積された入試データをもとに志望校を判定 |
| 首都圏模試「合判模試」 | 幅広い私立・国立中の志望校判定に使われる |
| SAPIX「合格力判定SO」 | SAPIX生に身近な合格力判定テスト |
ここで重要なのは、
偏差値だけを見るのではなく、誰と比べているのかを見ること。
同じ偏差値50でも、受験している母集団が違えば意味も変わる。
そして志望校判定なら、その学校を実際に目指している子たちの中で、自分がどこにいるのかが重要になる。
我が家もこれからSAPIXオープンを受ける。
結果は当然気になる。
でも、
「偏差値が上がった!」
「下がった!」
だけで一喜一憂するのではなく、その数字が何を意味しているのかまで見たい。
……と言いつつ、結果が返ってきたら普通に一喜一憂すると思う。
親とはそういうものである。
夫婦で同じ方向へ
そして今回、一番親として考えさせられたのが夫婦の話だった。
中学受験では、夫婦の意見が一致していることが重要だという。
これは今ならものすごくよくわかる。
志望校をどうするか。
どこまで勉強させるか。
SAPIXだけでいくか。
NNを受けるか。
個別塾をどうするか。
過去問をどう進めるか。
毎日のように判断することがある。
当然、夫婦で意見が違うこともある。
我が家だってある。
全部同じ意見になる必要なんてないと思う。
でも、最近かなり大事だと思っていることがある。
子どもの前では、父親と母親が同じ方向を向いているように見せること。
夫婦で意見が違うなら、子どもがいないところで話せばいい。
父親はこう言う。
母親はまったく逆のことを言う。
それでは、小学生の息子は困る。
何を信じればいいのかわからない。
だから最終的には、
「お父さんもお母さんも、一緒にあなたの受験を応援している」
という雰囲気を作る。
これが大事なのだと思う。
中学受験は、最後に問題を解くのは子どもである。
でも、小学生一人で完結する受験ではない。
塾へ送り出す。
ご飯を用意する。
教材を整理する。
学校を見に行く。
過去問を印刷する。
算数を見る。
テストの結果を一緒に見る。
そして、落ち込んだらまた次へ送り出す。
夫婦で細かい意見が違うのはいい。
でも、
「家族みんなで受験を応援している」
というところだけはブレないようにしたい。
子どもにとって、家まで戦場にする必要はないのだから。
半年前とは違う
『二月の勝者』2巻は、新6年生の3月の話である。
たった半年前。
でも、今振り返るとずいぶん昔のように感じる。
3月にはなかったSS特訓が始まった。
NN特訓も始まった。
過去問も始まった。
志望校について夫婦で話す時間も圧倒的に増えた。
そして塾に払うお金も増えた。
2巻を読んでいると、
「ああ、ここから始まったんだな」
という感じがする。
偏差値50は決して低くない。
「入れそう」ではなく「行きたい」で学校を選ぶ。
ほどほどでは大きな成果は出ない。
中学受験という特急券にはお金がかかる。
算数は重要。
模試の数字には母集団がある。
そして父親と母親は、少なくとも子どもの前では同じ方向を向く。
漫画なのだが、今読むとどれも他人事ではない。
明日も息子は勉強する。
親は仕事をする。
帰ってきたら、また受験の話をするのだろう。
そして父親は999号の乗車料金を稼ぐ。
行き先は2月1日。
あと137日。
『二月の勝者』、まだ2巻である。

コメント